LOADING

コンテンツ CONTENTS

工場の閉鎖や使っていない廃工場の相続などを理由として、工場の処分で悩む人は多い様です。

工場の売却は一戸建てやマンション、土地とは違い、工場特有の注意点があります。

工場を売却する流れや注意点、費用などについて解説します。

(1)工場を売却する流れについて

工場に限らず、不動産を売却するときは以下のような流れで進めていきます。

1.査定を受ける
2.売却価格を決める
3.売却計画を立てる

各工程について、詳しく解説していきます。

①査定を受ける

まずは不動産会社に売却の相談をします。相談をすると、その工場の査定をしてくれます。

住居などの一般的な不動産の場合、査定は周辺の成約事例や築年数、土地形状などを考慮し算出します。

しかし、工場の場合はそもそも売却事例が少ないため、不動産会社によって査定価格が大きく変化します。

損をしないために、なるべく工場売却の実績がある不動産会社に相談するとよいでしょう。

②売却価格を決める

不動産会社より査定価格が提示されると、売却価格を決めるステップに進みます。

不動産会社の査定価格がそのまま売却価格になるわけではなく、売却価格は査定価格をベースに売主が決めることになります。

売主が売却価格を決められるとはいえ、工場の売却経験のない売主は不動産会社の助言通りに売却価格を決めてしまうことになるでしょう。

そのため、売却を依頼するときは信頼のできる担当者を選びましょう。

③売却計画を立てる

工場の売却は、買い手がなかなか見つかりにくいものです。

居住用不動産よりも綿密に売却計画を立て、それに沿って売却を進めていくことが重要です。

また、不動産会社に工場の買取を依頼するのものひとつも売却方法です。

買取とは、不動産会社が買い手となり、工場を直接買い取ってもらう売却方法です。

売却価格が市場で売る場合の7割程度になるデメリットがありますが、早期売却できるメリットがあります。

しかし、工場の買取に対応できる会社はそう多くはありません。

(2)工場の売却にかかる費用や必要書類について

工場を売却する際には諸費用がかかります。

また、用意しなければならない書類も多いため、あらかじめ確認しておきましょう。

必ず必要となる諸費用

工場の売却において必ずかかる諸費用は以下のとおりです。

印紙代(売買契約に貼付する印紙の費用)、所有権移転登記費用、抵当権抹消の費用、不動産会社に支払う仲介手数料。

また、工場の売却は必要に応じて、解体費用や土壌の浄化費用がかかります。

工場は買い手の負担を少しでも減らすために、解体を条件として販売をするケースがあります。

そして、工場は土壌汚染のおそれがあるため、有害物質を取り扱うような工場では土壌調査が義務付けられています。

詳細については後述します。

印紙代

不動産売買契約を締結した際には、売買価格に応じた印紙税を納税する必要があります。

具体的な印紙代は以下のとおりです。

あらかじめどのくらいの印紙代を支払う必要があるのかを確認しましょう。



<売買価格印紙代>

10万円を超え50万円以下  200円

50万円を超え100万円以下  500円

100万円を超え500万円以下  1,000円

500万円を超え1,000万円以下  5,000円

1,000万円を超え5,000万円以下 10,000円

5,000万円を超え1億円以下  30,000円

1億円を超え5億円以下  60,000円

5億円を超え10億円以下  160,000円

10億円を超え50億円以下  320,000円

50億円を超える 480,000円

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

登記費用

登記費用には税金としての「登録免許税」と司法書士に支払う報酬が含まれており、司法書士の報酬は1〜5万円が相場ですが、登録免許税は以下の計算式によって算出されます。

所有権移転登記:固定資産税評価額 × 2%

抵当権抹消費用

住宅用建物の売却ではないため、軽減税率が適用されないという点に注意する必要があります。

仲介手数料

不動産を売却する場合、不動産会社に支払う仲介手数料がございます。

ただし、不動産会社に直接買取をしてもらう場合は不要となるため、トータルでどちらが最適となるかは十分に検討する必要があります。

仲介手数料は売買価格によって変わるため、以下の表を参考にしてください。



売買価格200万円以下 売買価格 × 5%+税

200万円を超え400万円以下 売買価格 × 4% +税 (400万円) × 4% +2万円+税

400万円を超える 売買価格 × 3%+税

例:1,000万円の売買の場合 売買価格 (1,000万円) × 3% +6万円+税

必要書類

工場を売却するうえで売主が用意しなければならない書類があります。

普段目にすることがほとんどない書類となっているため、必要となったタイミングで慌てることがないよう、事前に確認しておくことが重要です。

登記識別情報通知

登記識別情報通知は、権利証とも呼ばれる書類で、所有権移転に必要な暗号キーが記載されています。

所有権を主張する書類となっており再発行できないため売却をスタートするタイミングで必ず有無を確認しましょう。

万が一紛失している場合やどの書類かが分からない場合は、すぐに不動産会社に相談し、司法書士と事前面談をする必要があります。

この場合は数万円の費用が発生するため、注意しましょう。

購入時、相続時の書類

工場を取得した理由が購入の場合、購入当時の領収書を集めておきましょう。

後述する譲渡所得税の税額を減らす際に有効な書類となります。

また、購入ではなく相続取得の場合であっても同様です。

印紙代以外の税金

不動産を売却した場合、「譲渡所得税」という税金が発生します。

この税金は不動産を売却した際に発生した売却益に対して課税されることになり、売却益がマイナスになるか購入の

ときよりも安い金額で売却したことが証明できれば無税となります。

以下の計算式と条件をしっかり確認しておきましょう。



譲渡所得税の計算式:売却益 × 税率

売却益の計算式:売却価格-売却にかかる諸費用-購入価格-購入にかかった諸費用

税率:不動産の保有期間が5年以下39.63%、5年を超える場合は20.315%

譲渡所得税を減らすポイントは、どれだけ購入時の諸費用を証明できる書類を集められるかです。

購入価格は売買契約書、購入時の諸費用は領収書が証明できる書類となります。

万が一売買契約書を紛失していた場合、売却価格の5%が購入価格となってしまい譲渡所得税が大きく増えてしまうため、

売却スタート時には過去の書類が残っているかの確認をしましょう。

(3)工場売却ならではの注意点とは

工場は居住用不動産ではないため、売却には工場特有の注意点があります。

工場売却の注意点を事前に確認し、あとから余計な費用や工数がかからないようにしましょう。

工場によっては土壌汚染の調査が必要

調味料の製造や化学プラントといった工場は土壌汚染のおそれがあるため、地質調査を行い土壌汚染の有無を調査する義務があります。

土地の所有者は、施設を廃止した日から120日内に調査結果を県に報告しなければいけません。

この場合は、調査にかかる費用が別途発生するうえに調査期間が数カ月におよぶケースもあるため、売却計画に影響が出ないよう早めに調査をしましょう。

区域区分は必ず確認する

区域区分は都市計画法で定められたエリアのことで、「市街化区域」、「市街化調整区域」、「非線引き区域」に分け

られます。

このうち、市街化調整区域に該当する場合は居住用不動産として扱うことができず、工場を解体して家を建てる目的で

購入することが実質不可能となります。

このケースだと住宅ではなく、工場として利用したい方に売却する必要があります。

区域区分によっては売却計画が大きく変わるためあらかじめ確認しましょう。

工場の売却は早めに不動産会社へ相談するのがポイント

工場は一般の買い手が購入するケースは非常に少なく、多くの場合が不動産会社の買取か他業種の企業です。

そのため、通常の不動産を売却するよりも難易度が高く、イメージがしにくいという特徴があります。

このように、一筋縄ではいかない工場の売却をスムーズに進めるためにも早めに不動産会社へ相談することがポイントとなるでしょう。